プロヴァンス滞在記

9.車上ねらい
車上ねらいと言えば、忘れられない事件がある。

ボニューからは少し遠いが、車で東に2時間ぐらい行ったところにヴェルドン渓谷がある。
(Grand Canyon du Verdon)

ここは高差2・300メートルの岩壁がゴルジュ状に何キロにもわたって織り成す大渓谷で、こちらではかなり有名な観光地である。

日本にはほとんど紹介されていないのが残念だが、その風景はまったくもって素晴らしい。

そしてここはまた、クライミングのエリアとしても有名で、春から夏にかけてたくさんのクライマーが訪れる。



ヴェルドンの岩場で。真上は展望台だ。
観光地であるからには、車上ねらい等の物盗りも多く出没するわけで、渓谷沿いの駐車場では車のガラスを割られて、荷物を盗られるなどの事件は日常茶飯事である。

私の知り合いも実際に、日本から来たばかりでいきなり車中の荷物を、パスポート・航空券・TC等、何から何まで、なんと食べかけのチーズとパンまで盗まれて、途方に暮れていたそうだ。



ヴェルドンで。
高度感たっぷりのクライミングが楽しめる


この渓谷の最寄の街はラ・パリュ=シュール=ヴェルドンであるが(la Palud−sur−Verdon)、十年前、私は仲間と共にこの街のキャンプ場に滞在していた。

ひと月程いたのだが、その間に2回、キャンプ場に、車上ねらいグループが現れた。

彼らは風の強い日の夜中にやってくる。
私たちの仲間でたまたま夜中にテントの中で本を読んでいた人が聞いていた物音から推測すれば、複数人で、ワーゲンバスに乗ってやってくるようだ。

彼らはそっと車のフロントガラスのシーリングを切る。そしてフロントガラスを外して車の横に置き、車中の物をすべて盗み去る。

その手口はあまりにも見事で、車の真横にテントを張っていた人たちもまったく気付かず被害に遭ってしまう。

全く芸術的なやり口で、翌朝、やられた人たちも開き直って、笑いながらシーリングを振り回して遊んでいた。
さすがフランス人、と、妙に感心してしまった事件である。

( 2001/03/18 作成 )
レ・ボー(Les Baux)にて。
こちらでは、屋外で自動販売機を見かけることは滅多にないが、たまに見かけるものは、このように、がっちりガードされている。












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