- 特集 3 -
(巡礼地にて)
2004/11/15
 
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      プロヴァンス滞在記   − 巡礼地にて −

8.モン=サン=ミッシェル (Le Mont-Saint-Michel)

                 

正面から望む。
やはり、かっこいい。

ここは巡礼地というよりも、むしろフランス屈指の観光地と紹介したほうが当てはまるかもしれない。

ヨーロッパ向けの旅行パンフレットには必ず出ているし、雑誌やテレビにも頻繁に出てくるので、おそらく目にした事のない人はいないと言ってもいいだろう。

実際、海に浮かぶ要塞のようにも見える姿はあまりにも印象的である。


モン=サン=ミッシェルの、ミッシェルとはもちろん大天使ミカエルのことである。

各地の教会のタンパンによく描写されている最後の審判の情景で、審判者キリストの下で天秤を持ち魂を秤にかけているのが大天使ミカエルだ。

彼が死後の信者の魂を選別し、また、天国の門を守っているのだ。

そのため、より天国に近い、高い山の上や、切り立った崖の上にミカエルを祭る教会が多く捧げられている。


修道院の回廊。
モン=サン=ミッシェルの外観からは
とても想像がつかない瞑想的な空間だ。


海岸線と島を結ぶ堤防。
しかし、この堤防のせいで潮の流れが変わってしまい、
周囲はすっかり、砂で覆われてしまった。
現在は広大な駐車場になっている。
それにしても・・・、この観光バスと車の量!!

モン=サン=ミッシェルの建造が始まったのは708年。 アブランシュのオベール司教が大天使ミカエルのお告げを受けて、当時海上の岩山だったこの地に建設を始めたとされる。
966年にはヴェネディクト会の拠点となり、以後、巡礼地として急成長を遂げた。

百年戦争の間はフランス北西部で唯一、モンサンミッシェルだけがイギリス軍の攻撃に耐え抜き、そのため、この地はフランス愛国心の象徴ともなっている。

フランス革命時は、修道院は革命軍に接収され、1863年まで監獄として使われた。
その後、修復が始まり、1966年からは修道士も戻り、現在の姿へと至る。
1979年には世界文化遺産にも登録された。

島は本来は満潮時に完全に孤島となっていたのだが、島を結ぶ堤防状の道ができてから潮の流れが変わり、現在はすっかり周囲が砂で埋まってしまった。
かって中世の時代には、巡礼者たちが流砂や満潮に呑まれる危険と向き合いながら渡った2km弱の行程だったのだが・・・。

2005秋からは、保全工事(堤防に替わる橋の建設と浚渫)が始まっている。2010年完了予定。

はたして、千年以上続いた、感動的な景観を再び取り戻すことが出来るか? 楽しみである。


(2004/03/15作成)
(2007/03/25修正)

現在は草原となり、羊が草を食んでいるこの風景も、
工事が成功すれば中世の頃のように
満潮時には海の中になるのであろうか?




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