プロヴァンス滞在記   − 巡礼地にて −

1.ルルド (LOURDES)
1858年、当時14歳のベルナデット・スービルーが、街の外れのマサビエルの洞窟で聖母出現に出くわしたことから、あまりにも有名な『奇跡の泉』の物語が始まる。

詳細については数々の本が出ているので、あえてここで触れる必要もないかと思うが、要約だけ述べると、彼女はここで計18回、聖母出現に立会い(他の者には見えない)、何回目かの出現の折に指示された場所を素手で掘ったところ、水が出るようになり、その泉水を浴した者達の身に奇跡が起きるようになったというものだ。


聖域(Sanctuaire)に入ったところ。
奥に見えるバシリカ聖堂の右下に洞窟がある。

この水が果たして本当に奇跡の水なのか?

ルルドでの奇跡については教会側も安易な認定はしたがらないようで、専門の医師団を置いて、奇跡が起きた当人達のその後の生活態度までをも含めた厳密な審査をして、奇跡と認めうるかの判断をしているということだ。
ただ奇跡は、それを求め信じる人がいる限り、教会の認定などはあまり意味がないものなのだろう。

『聖母の出現』自体は1862年に教会から公認された。ベルナデットは1879/4/16没し、1933/12/8に聖列に加えられた。


マサビエルの洞窟。
泉の水源は洞窟左側の入ってすぐのあたりにある。


聖母出現の頃は山と草原だった洞窟周辺は、現在はすっかり整備されてしまって洞窟の上には大きな教会まで建っている。

肝心な洞窟は意外に小さい。

泉は入ってすぐ左側にあるが、蓋をされていて水源はガラスパネル越しにしか見えない。
洞窟の手前には水汲み場があって、そこで泉の水を汲むようになっている。
洞窟内は一方通行で、巡礼に来た人達が岩にキスしながらゆっくりと進んでいく。

洞窟の前には奇跡を祈る病身の人々がたくさんいて、他の巡礼地には無い独特な雰囲気を作り出している。健常者にはある意味、とても居づらい雰囲気だろう。


車椅子用リフト
病人のための街なのでバリアフリーが徹底している。
バスターミナルから聖域へ向かう高差を解消する為の施設。



マサビエルの洞窟を中心にした『聖域:sanctuaire』と呼ばれる広大な敷地内では一切の商行為が禁止されている。
それが旧市街とのコントラストを際立たせる。
旧市街は、私たち日本人にはお馴染みのお土産物屋が林立し、一大観光センターと化している。 ここは熱海か?と錯覚してしまいそうだ。 他のヨーロッパの都市ではまず見かけることが出来ない光景だ。 売っている物は、泉の水関連商品とロザリオが多く、その点は日本の観光地と大きく違う。

ベルナデットの家も残っている。中は一方通行。 ひと通り見た後の、その出口はお土産物屋の店内に直結している。 『こんなのありか?』と戸惑ってしまうが、そのお土産物屋はベルナデットの弟の末裔が経営しているらしい。 なるほどである。


聖域を出るとおみやげ物屋が林立している。



ルルドはローマやエルサレム等に比べて、「巡礼地」としての知名度は低く歴史も浅いのだが、実は、年間500万人もの巡礼者を集めるキリスト教圏最大の巡礼地である。

信じる信じない、好む好まざるは別にして、カトリック社会の一つの側面を知る上で、とても興味深い場所である。




(2003/05/13作成)
ベルナデットの家。



前のページへ



次のページへ
トップへ戻る